那由多の映画ブログ

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世界のキタノを知らしめた 映画『HANA-BI』

こんにちは。

那由多です。

 

今回は北野武さんが監督をしている『HANA-BI』についてレビューします。

 

こういった映画レビューのブログをするので、北野映画を見たいと思いました。

 

せっかく日本人ですからね。

 

HANA-BI』は第54回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞しています。

 

この映画から北野映画が世界でも評価を高めたのではないでしょうか。

 

実を言うと僕は『座頭市』しか北野映画を見ていませんでした。

 

ということで、この機会に見てみました。

 

最愛の人との逃避行『HANA-BI

 

この映画は主人公で北野武さんが演じる『西』が、とあることから刑事と反社会的勢力の両方に追われる身となります。

 

『西』は不治の病に侵されている妻のために、とあることを起こします。

 

そして妻とともに逃避行を行います。

 

しかし、妻には逃避行とは伝えず旅行のような穏やかさで逃げていきます。

 

北野映画は暴力的と言われます。

 

逃避行の中でも暴力と愛情のシーンが続き、物語の性質上、人の死が巻き起こります。

 

元々映画タイトルの『HANA-BI』は北野武さんがつけたものではなかったようです。

 

しかし、儚い人生の中で幸せな時間を大切にした『西』の生き方は花火そのものかなと思います。

 

そして最後のシーンでは自身の愛を暴力性にかえて、妻と二人での新たな旅立ちに使ったのかなと思います。

 

北野武さんが演じる『西』という男は作中ではほとんど話しません。

 

監督も北野武さんですが、脚本も北野武さんです。

 

つまり『西』は北野武さんが作ったキャラクターで、誰かに「話さないキャラクター」として与えられたものではありません。

 

怒りだすと手が付けられないと作中で評されることがあります。

 

奥さんが不治の病で心を痛めていると評されるシーンもあります。

 

台詞は『西』以外の周りの人物ばかりです。

 

『西』はたまに話したり笑ったりするくらいです。

 

そして仕草で怒っていることも伝わってきます。

 

周りの人間を通して見る『西』はとても愛情が深く暴力的な男です。

 

普通ならそこまで周りにいない人物像ですし、いたら恐くてあまり仲良くなれない人物かもしれません。

 

ただとても人間味を感じます。

 

あえて言葉を使わず、言葉に頼らなかったからこそ海を超えて世界で評価されたのかもしれませんね。

 

映画『HANA-BI』のこだわり

 

映画が終わるとエンドロールが流れます。

 

監督は北野武さんだとは知っていましたが「脚本は誰なんだろう?」と思って見てみました。

 

脚本も北野武さんだったのですが、なんと編集も挿入絵も北野武さんが行っていました。

 

絵は色彩がとても綺麗です。

 

独特のタッチで少し狂気も混ざっており、人を惹きつける絵だなって思います。

 

作中では北野武さん演じる『西』が絵を描いたわけではなく、『西』の元同僚が絵を描いたという設定です。

 

映画監督として映画全体の演出ができ、映画の本も書くことができ、出来上がった映像を仕上げることができ、小道具も作り出せる。

 

ちょっと完璧すぎますね。

 

北野武さんは芸人さんです。

 

人を笑わせ楽しませる才能もありながら芸術の才能も溢れるばかりにあるのは羨ましいですね。

 

そして音楽は久石譲さんです。

 

エグい暴力シーンでも久石譲さんは美しく繊細な音楽を載せています。

 

これは北野武さんにアコースティックで美しい旋律にして欲しいと要望があったからということです。

 

普通、暴力シーンには烈しく鬼気迫るような音楽になりがちです。

 

しかし『HANA-BI』では真逆の美しく繊細な音楽になっています。

 

これは『西』の愛情深い性格と暴力性が同居する性格の中で、愛情深く繊細な性格を反映しているのかもしれません。

 

世界のキタノを世の中に知らしめた『HANA-BI』を見てみてはいかがでしょうか。