那由多の映画ブログ

映画レビューや映画についてのちょっとしたネタを書きます

うだつが上がらない売れない漫画家が主人公な『アイアムアヒーロー』

こんにちは。

那由多です。

 

今回は『アイアムアヒーロー』というゾンビ映画をレビューします。

 

この映画の原作は漫画です。

 

そしてその原作漫画を描いたのが「花沢健吾」さんという方です。

 

この方は実は以前のレビューにも登場しています。

 

ボーイズ・オン・ザ・ラン』という映画のレビューの時に取り上げましたね。

 

この作品と同じ作者さんです。

 

ボーイズ・オン・ザ・ラン』の時も書きましたが「花沢健吾」さんは作品のテーマを描くまでの過程がかなり丁寧な方です。

 

アイアムアヒーロー』でもゾンビ漫画だとわかるのに1巻丸々かかります。

 

そして「花沢健吾」さんはダメ男の主人公を描くのが得意な方です。

 

原作『アイアムアヒーロー』について

 

アイアムアヒーロー』の主人公の「鈴木英雄(すずきひでお)」は新人の時に1本だけ佳作に選ばれた漫画を持つという経歴をもっています。

 

ただ作中では漫画家アシスタントを行い、連載などは持っていない売れない漫画家をしています。

 

そして極度の暗闇恐怖症です。

 

一人暮らしのアパートには猟銃を持っています。

 

もちろん許可を得て趣味としてクレー射撃用に所持しているものです。

 

その銃の部品や漫画を自身の周りに置き、暗闇に自身が想像してしまうバケモノから身を守るための魔法陣にしています。

 

ちょっと意味がわからない文章だったと思いますが、暗闇に対してそういう想像をし、勝手に怖がって魔法陣を作るという厨二病から抜け出せない痛い大人だということです。

 

そして独り言のように「アイアムアヒーロー」と呟き、自己暗示をかけているという人物です。

 

ただこういった男性が時に成長し時に退化しながら物語は進みます。

 

成長はかっこよく、退化も人間らしく描かれており、そこが「花沢健吾」作品の魅力になっています。

 

また『アイアムアヒーロー』の主人公の「鈴木英雄」と作者の「花沢健吾」さんはとても似ています。

 

というか恐らく自分をモデルに描いたのだろうと思うくらい見た目がそっくりです。

 

そして職業は同じ漫画家です。

 

おそらく「鈴木英雄」に一番思い入れがあるのではないかなと思います。

 

映画『アイアムアヒーロー』について

 

映画の『アイアムアヒーロー』は主人公の「鈴木英雄」を大泉洋さんが演じています。

 

これが普通にかっこよく、また大泉洋さんのイメージが良いのであまりかっこ悪い「鈴木英雄」に振り切れていない印象があります。

 

漫画『アイアムアヒーロー』では上述のように一人暮らしですが、映画では恋人の「てっこ(黒川徹子)」と同棲しています。

 

漫画では「てっこ」は「鈴木英雄」の絶対的な味方として描かれます。

 

しかし「鈴木英雄」のライバルの元カレだったためにひどい事を言ってしまい「てっこ」を悲しませます。

 

ただ映画では尺の都合もあってそのエピソードは削除され、そのかわり「てっこ」がうだつの上がらない「鈴木英雄」に愛想をつかすような描写があります。

 

大泉洋さんのイメージでは恋人に嫉妬してクズ発言をするのはちょっと合わないかなと思うので、個人的にはこういった細かい修正はいいかなと思います。

 

そして映画で描かれたのは漫画でいう部分の前半の山場までといった感じです。

 

ですが続編は描かれていません。

 

映画の尺なのでゾンビとはいえ人を銃で撃つことに苦悩する「鈴木英雄」も描かれていません。

 

そういう細かい主人公の心境がなかったので漫画を読んでいない人には感情移入がしづらく、続編を作ろうという反響には繋がらなかったのかもしれませんね。

 

ただ漫画からの再現度は高かったので原作が好きな人は一見の価値ありだと思います。

 

また漫画では「あの人だ」という人が出演しています。

 

「鈴木英雄」の漫画のライバルである「中田コロリ」役をラーメンズ片桐仁さん。

 

そして存じ上げなかったのですが「鈴木英雄」がアシスタントとして手伝っている漫画家の先生の「松尾」はマキタスポーツさんという方が演じており原作通り。

 

おそらくマキタスポーツさんを元に「松尾」という人物を描いたことがわかります。

 

そして「鈴木英雄」の同僚の「三谷」は「三谷幸喜」さんが元ネタだと思いますが、ここは芸人の塚地武雅さんが演じています。

 

ここだけ残念ですね。

 

そしてとにかくヒロインの有村架純さんが可愛いです。