那由多の映画ブログ

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美しくも悲しい映画『楢山節考』

こんにちは。

那由多です。

 

昔話に『姥捨山』というものがあります。

 

姥捨山は「うばすてやま」と読み、食糧不足の村で口減らしのために労働力にならない老人となった親を山に置いてくるという内容です。

 

そして親は自身を運ぶ子の帰り道を案じて、木の枝など目印になるものを道に捨てていきます。

 

家族愛を感じますが、貧しさから残酷な決断をせざるを得ない切なさを感じられる話ですね。

 

この姥捨山の昔話が実際にあったことなのかは現在でも議論になっているようです。

 

そして姥捨山の伝説を小説化し、後に映画になった『楢山節考(ならやまぶしこう)』を今回観てみたのでレビューします。

 

映画『楢山節考』のあらすじ

まず『楢山節考』は1958年に映画化された作品と、1983年に映画化された作品があります。

 

僕は1983年に公開された『楢山節考』を観てみました。

 

この作品の特徴でまず感じることは、1983年に公開されたとは思えないほど美しい映像だということです。

 

ぜひ実際にご覧になってください。

 

映画の内容は姥捨山に沿っています。

 

舞台は畑や田んぼにできる土地も少ない雪深い山間の地域で、越冬する際の食料はいつもギリギリでした。

 

物語の主人公の辰平が住む村は

・長男しか結婚して子供を残せずない

・他人から食料を盗んではいけない

・70歳の老人は「楢山参り」をしなければいけない

 

という掟がありました。

 

長男以外が子供を持つと人口が増えて食物がなくなり餓死してしまいます。

 

なので長男以外は長男に仕えて一生を終える必要があります。

 

他人から食物を盗んではいけないルールは、盗みが発覚したら家を破壊されて食物を根こそぎ持っていかれてしまうという仕返しを受け、村八分にされてしまいます。

 

しかし盗みを働いた家以外の村人にとっては臨時で食料が手に入るために、お祭りのようになっていました。

 

そして「楢山参り」も食物を節約するために行う口減らしです。

 

現代では考えられない事ですが、食物が不足していた時はこういった掟で村全体が滅びることを防いでいたわけですね。

 

今の世の中では生き残るために生きるのではなく、いくらでも楽しい事ややりたい事ができるので、本当に幸せな時代に生まれたと感じると思います。

 

そして「楢山参り」には決まりがあります。

 

それは

・「楢山参り」の際には話してはいけない

・誰にも目撃されずに家を出発する

・山に親を降ろしたら振り返ってはいけない

 

というものです。

 

この決まりのために「楢山参り」はとても寂しく、悲しいものになっています。

 

全てが本物志向の『楢山節考

昔の映画はかなり無茶をして制作しているエピソードがあります。

 

楢山節考』もかなりこだわって制作されていたようです。

 

「楢山参り」で山に行くことになる主人公の辰平の母親に「おりん」という人物がいます。

 

「おりん」は歯が丈夫でした。

 

しかし年をとっても歯が丈夫なのは食料が少ないこの村では恥でした。

 

そこで「おりん」は自ら歯を折り、ニコッと笑って前歯がなくなったのを見せるシーンがあります。

 

このシーンのために「おりん」役の「坂本スミ子」さんは実際に前歯を削り、インプラントにしたようです。

 

こういった昔の映画のエピソードには驚きますね。

 

さらに「楢山参り」のシーンでとても衝撃的な場面があります。

 

山道にたくさん散らばっているものがあるのですが、なんとそれも本物を使ったようです。

 

これもご覧になったら驚くと思うのでぜひ観てみてください。