こんにちは。
那由多です。
前々回、黒澤明監督について取り上げましたが、今回は『勝新太郎(かつしんたろう)』さんについて取り上げます。
この方はエピソードが今でも多く確認でき、それぞれのエピソードがとても破天荒です。
動画で、生前の勝新太郎さんの姿を今でも見ることもできます。
しかし、その動画は晩年の勝新太郎さんが色々な問題を起こした際の記者会見のものだったりします。
例えば、ある記者会見では自身が癌に侵されお酒も煙草もお医者さんから禁止されていました。
そして煙草について質問されると、「煙草は吸いたくなくなっちゃった」と言いながら煙草を用意させその場で吸って見せます。
記者に追及されると「会見時間が長いので」とスタッフが弁明し、勝新太郎さん本人は「やめた やめた」と言います。
さらにお酒に関して質問されると「お酒はビールが旨いんだよな」と返答。
そして「どう旨いかっていうとオレンジジュースみたいな感じ」「味が変わった」と返答します。
記者に「飲むのは医者に禁止されてますよね?」と質問されると、「オレンジジュースだから」と返答します。
もちろん会見場は笑いに包まれてますが、これを動画で見ると「やばい人だ」と感じますよね。
勝新太郎さんのエピソードの数々
では僕が好きな勝新太郎さんのエピソードを挙げていきます。
ただ僕もリアルタイムで見られた年代ではないのでニュアンスが微妙に違っているかもしれません。
勝新太郎さんはとにかく豪快に遊ぶ人でスタッフを引き連れて宴会をして勘定は全て勝新太郎さんが払うということも多かったようです。
女遊びもしたとは思うのですが、とても愛妻家でした。
勝新太郎さんの奥さんは『中村玉緒(なかむらたまお)』さんです。
中村玉緒さんには直接は言っていませんでしたが勝新太郎さんは「中村玉緒は勝新太郎がいなくても存在できる。勝新太郎は中村玉緒がいないと存在できない」と言っていたようです。
そんな中村玉緒さんがある日高熱を出しました。
勝新太郎さんは中村玉緒さんが俳優の『渡哲也(わたりてつや)』さんが好きだったことを思い出し、銀座のお店で渡哲也さんが飲んでいそうな場所をしらみつぶしに探します。
スマホがない時代です。
渡哲也さんを見つけるといきなり土下座をし、中村玉緒さんのために歌を歌って欲しいと頼みます。
渡哲也さんは快諾してお店から中村玉緒さんに電話をしてその場で歌を歌ったというエピソードがあります。
普段は豪快な人なのに大切な人のためなら簡単に頭を下げられる人はかっこいいですね。
またマスコミに対してはどんなに悪く書かれても対応していたようです。
それどころか「ああいう書き方をして部数は伸びたか?」と聞いてくるようです。
その質問に「伸びました」と答えると嬉しそうに「そうかい」と答えるようです。
逆に「伸びませんでした」と答えると「それじゃあ書くなよ馬鹿野郎」となります。
勝新太郎さんは「主役は悪役だからこそ話題になる。」という考え方だったようです。
悪く書いてきたマスコミに対して喜ぶ姿を見せたら、その記者は勝新太郎さんの器を測りかねて飲まれる結果になったと思います。
またこういった考え方から、冒頭で紹介した記者会見でのワンシーンは勝新太郎さんのパフォーマンスでした。
煙草をおもむろに出して火をつけますが肺までは入れずにふかしただけです。
自らが癌に侵され、記者会見の7ヵ月後に亡くなってしまいますが、その差し迫った状況でマスコミを集めてサービス精神全開の記者会見を行っていたわけです。
こんな人は中々いないと思います。
記者会見の動画は何も前提知識がないと「ヤバい人」「これだから昭和は…」と感じるかもしれませんがちゃんと調べるとすごいことをしています。
というわけで勝新太郎さんの作品もぜひ観てみてください。