那由多の映画ブログ

映画レビューや映画についてのちょっとしたネタを書きます

これぞ北野武さん監督作品 第57回ヴェネツィア国際映画祭特別招待作品『BROTHER』

 

こんにちは。

那由多です。

 

このブログを始めるにあたって北野武(きたのたけし)さん監督作品を見ようと思い、これまでに『HANA-BI』『その男、凶暴につき』『菊次郎の夏』を見てレビューしました。

 

今回は第4弾として『BROTHER(ブラザー)』を見たのでレビューします。

 

個人的には北野武さん監督作品は

 

1位『HANA-BI

2位『BROTHER』

3位『その男、凶暴につき』『菊次郎の夏

 

かなと思います。

 

作品に順番をつけるのは品がないとは思いますし、全ておもしろかったのですが、わかりやすいかと思いますので参考までに。

 

今回見た『BROTHER』は、これぞ北野映画と言えるほど激しいバイオレンス描写があります。

 

北野映画を思う存分堪能したい!という方には『BROTHER』はおすすめだと思います。

 

映画『BROTHER』は兄にこだわった男の生涯を描く作品

映画『BROTHER』の主人公は北野武さんが演じる山本という男です。

 

物語の最初、山本は花岡組という組に所属しています。

 

花岡組は反社会的勢力です。

 

映画のジャンルとしては一定の人気がある任侠ものですね。

 

その花岡組の山本という男は兄貴、または兄貴分として生きることにこだわった男です。

 

山本が所属する花岡組の組長は映画が始まって早々に暗殺されて物語から退場してしまいます。

 

そして警察が介入して花岡組は解散。

 

組長を暗殺した相手の組から山本は「弟分として盃を交わさないか?」というオファーを受けますがそんな屈辱的な選択はできません。

 

ここから山本は弟として誰かの下風に立つのではなく、兄貴として生きる道を選びます。

 

映画『BROTHER』には山本の様々な「弟」が登場します。

 

異母弟で血がつながった『真木蔵人(まきくろうど)』さん演じるケン。

 

ケンの仲間で『オマー・エップス』さんが演じるチンピラのデニーは山本の一番の理解者となり、山本を兄貴分として慕います。

 

「山本のためなら命を賭けられる」という元花岡組の加藤は盲目的に山本を慕い、山本を兄貴と呼びますがそれ以上の忠誠心があります。

 

そして『加藤雅也(かとうまさや)』さんが演じる白瀬は元々は山本と敵対していますが、加藤が命を賭けて交渉して弟分として山本の下風に立ちます。

 

それぞれが山本を兄貴として盛り立てますが、山本は粗暴でとても心服させて人を従えさせる人物ではないように描かれます。

 

最後まで見ると山本の印象は変わると思いますが。

 

ちなみにこの映画はフランス語圏では題名は『Aniki』に変えて上映されたようです。

 

海外で『BROTHER』を表現するのって難しくない?

上記のようにこの映画は兄貴、または兄貴分をテーマにしています。

 

海外の人が「ヘイ、ブラザー」と言うと兄弟という意味と、親しい友達の意味があります。

 

同じ「ブラザー」でもその時の状況によって「これは兄弟だな」「これは親友だな」と判断しますね。

 

ただ日本の任侠の世界の「兄貴、兄貴分」を海外の映画ファンに表現して伝わるのか。

 

それを会話やストーリーで伝えるのが北野武さんが監督した作品です。

 

北野武さんの他の作品を見てみても、「この概念って海外で伝わるの?」ということをテーマにして海外で高い評価を受けています。

 

北野武さんのこの言葉の壁を超えた伝える力はとてもすごいと思います。

 

ちなみに映画『BROTHER』は日本で上映される際の予告CMが有名です。

 

北野武さん演じる山本が銃を乱射し「ファッキンジャップくらいわかるよ。バカヤロー」というシーンです。

 

今でもYouTubeなどで検索すると見ることができます。

 

予告も本編もぜひ見てみてください。