那由多の映画ブログ

映画レビューや映画についてのちょっとしたネタを書きます

ジャンルそのものを創作した小説家を描いた映画『カポーティ』

こんにちは。

那由多です。

 

今回は実話が映画になったというお話です。

 

こういった場合は主人は壮絶な人生を歩んでいます。

 

トルーマン・カポーティ」という人物をご存じでしょうか。

 

この方はアメリカで活躍した小説家です。

 

この人物は若くしてその才能が開花して売れっ子小説家になっていました。

 

映画『ティファニーで朝食を』の原作者は「トルーマン・カポーティ」です。

 

ティファニーで朝食を』は彼が34歳の時に発表した作品です。

 

この作品で盤石の地位を築いていた「トルーマン・カポーティ」ですが、ある作品をきっかけにその人生は一気に転落します。

 

そのきっかけとなった作品は『冷血』という作品です。

 

今回ご紹介する『カポーティ』という映画は「トルーマン・カポーティ」が『冷血』を書き上げるまでを描いています。

 

映画『カポーティ』のあらすじ

カポーティ』はある社交界の場面から始まります。

 

そこでは多くの人がおり、お酒を飲み談笑しています。

 

話題の中心は「トルーマン・カポーティ」です。

 

この映画の時点では「トルーマン・カポーティ」はすでに売れっ子作家で、著名人の知り合いも多くいてそれを鼻にかけたような言動をします。

 

しかしあるきっかけからアメリカのカンザス州で起こった一家惨殺事件に興味を持ち、その事件を調査します。

 

この事件は農場主だった男性とその家族の合計4人が被害に遭った実際にあった事件です。

 

全ての被害者は至近距離から頭に散弾銃の弾を打たれており、凄惨な現場となっていました。

 

犯人は警察に捕まり、2人の複数犯だったことが判明します。

 

そして「トルーマン・カポーティ」は彼らに取材を行い、彼らの最期を見届け、彼らの行いを小説として発表しました。

 

この小説には『冷血』という題名がつけられてとても大きな反響をもたらしました。

 

当時は実際の事件を題材にした小説という作品がなかったのか、映画内で「トルーマン・カポーティ」は新しい小説のジャンルを創るということに情熱を燃やしています。

 

そういった作品はあっても明確にジャンルとしては確立していなかったのかもしれませんね。

 

トルーマン・カポーティ」は『冷血』をノンフィクション・ノベルというジャンルとして世の中に発表します。

 

しかし『冷血』の執筆で疲弊しすぎたのかその後は長編作品は書かなくなり、お酒に溺れて59歳で亡くなったようですがこの映画はそこまでは描いていません。

 

見どころは主演フィリップ・シーモア・ホフマンの演技!特に心理描写

この映画の主演である「フィリップ・シーモア・ホフマン」さんはこの映画でアカデミー賞の主演男優賞を獲得しています。

 

映画が始まって最初はちょっとした小男に見えますが時間とともにとても表情が変わり魅力的になっていきます。

 

この映画では「トルーマン・カポーティ」が殺人犯の牢に入って監視はありながらも犯人の話に耳を傾けるシーンがあります。

 

取材ではありますが、取材を重ねる内に徐々に打ち解け、犯人は「あの日」に何があったのか話してくれます。

 

その犯人の幼いころの境遇は「トルーマン・カポーティ」と瓜二つでした。

 

そこで友情という感情を持ち、少しでも長く生きていてほしいと思いながらも、小説の完結のためには少しでも早く刑が執行されなければならないという葛藤が生まれます。

 

特に取材のためにあえて犯人に噓を伝え、情報を引き出そうとする時の鬼気迫る表情は引き込まれます。

 

この機械やAIなどでは絶対に測れないであろう人間の心理の描写が繊細で名作だと思いました。

 

ぜひ観てみてください。