ダメな主人公が成長しそうで成長しないのが魅力な『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
こんにちは。
那由多です。
今回は漫画が原作となっている映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』のレビューになります。
この映画の原作の漫画も同名の作品となっています。
僕はこの漫画を読んだことはありますが、映画は見たことがなかったので今回見てみました。
原作の漫画を描いた「花沢健吾」という漫画家さんについて
漫画の作者は「花沢健吾」さんという方です。
この方は『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の他には『アイアムアヒーロー』や『ルサンチマン』などの作品を描いています。
この方の作風はまずは主人公にダメな男を描きます。
欲望にすぐ負けてしまい、恋愛下手で仕事もうまくいっていないというイメージです。
そんな主人公の前に魅力的なヒロインが現れ、いい感じになり、主人公は頑張ろうとしますがうまくいかないということを繰り返します。
そんなダメな主人公ですが、人間味がありとても魅力的に描くのがうまい方です。
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』もその主人公像にがっつり当てはまります。
そして「花沢健吾」さんの作品にはある特徴があります。
それは大筋のテーマまでの前提を丹念に描写するということです。
例えば「花沢健吾」さんの作品に『アイアムアヒーロー』というゾンビがテーマの作品があります。
ちなみに『アイアムアヒーロー』は大泉洋さんが主演で映画化しているので、いずれレビューすると思います。
この作品の漫画は1巻丸々使って主人公のダメさを描いています。
そして1巻の最後にゾンビが出てきて1巻で描いていたうだつが上がらない生活が実はかけがえのないものだったことが描かれます。
漫画家「花沢健吾」さんの特徴がわかったところで映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』のレビューに移ります。
漫画を忠実に途中まで再現している『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は原作の漫画を結構忠実に再現していると思います。
ただ主人公にボクシングを教える鈴木さんが原作に比べてかっこよすぎるという部分は原作からだいぶアップグレードされていますねw
上記に書きましたが『ボーイズ・オン・ザ・ラン』はボクシング漫画です。
ただ映画を見るとボクシング要素はあるけど「それがテーマと言えるほどか?」と思うかもしれません。
実は映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は漫画の半分までしか描いていません。
そして漫画の第一話で登場する金髪の謎の女性が描かれていません。
しかも漫画の『ボーイズ・オン・ザ・ラン』では、この金髪女性が最終的にはヒロインとなります。
つまり漫画は前編・後編と大きく物語が分かれていて映画では前編しか描いていないということです。
ちなみに漫画は好評だったから急遽後編を制作したわけではありません。
漫画が好評で続編を制作したなら、この金髪の女性を1巻で登場させる必要はないからです。
そして謎の金髪の女性が1巻で暴漢を倒すシーンがあります。
その時に金髪の女性が暴漢に繰り出したのもボクシングのパンチです。
なので1巻の段階でボクシングをテーマとして描くことは決めていて、映画になった前編は復讐劇とボクシングをテーマにし、後篇はボクシングを主体に描いています。
漫画を映画で実写化するとどうしても内容がスカスカになります。
本にはぎっちり入っている描写を削って削って2時間ほどにしていくので仕方ないですが。
ということで映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は忠実に描いているので映画を見ておもしろいと思った場合はぜひ漫画も読んでみることをおすすめします。
そして個人的にはyouさんが演じる風俗嬢しほ役が妙にリアルでいい味を出してるなと思います。
ぜひ、それぞれの役者さんの演技にも注目して見てみてくださいね。