こんにちは。
那由多です。
実話が映画になったという作品は多いと思います。
感動のストーリーはいいですが、胸糞な内容の映画はとてもセンセーションで見ていて心が痛くなりますね。
『子宮に沈める』もかなりセンセーションな事件を元に制作された映画です。
ストーリーの元となった実在の事件、大阪2児餓死事件について
大阪2児餓死事件は2010年に起こった事件です。
当時3歳の女児と1歳9ヵ月の男児がネグレクトによって家に放置され餓死してしまったという事件です。
この事件を犯した犯人である母親は、自身も幼少期にはネグレクトを受けていました。
犯人の父親は教師、母親は専業主婦です。
父はラグビー部の顧問で家庭を顧みず離婚しますが、母親も育児をしない人物でした。
最初は母親に引き取られますが母親もネグレクトなので、後に父親に引き取られます。
そして継母が現れますが継母には連れ子がおり愛情を注いでもらえませんでした。
そこからグレて家出をし男性と知り合って結婚をし、上述した2人の子供を授かりました。
しかし犯人の浮気によって離婚しシングルマザーになってしまいます。
そこで性産業に従事し生活費を稼ぐようになります。
壮絶な人生ですよね。
ここで性産業で稼いだお金で一生懸命子育てをすれば同情が得られると思いますが、稼いだお金のほとんどはホスト遊びに消えることになります。
慣習として日本では離婚した際に母親に親権や監護権が渡されます。
ただこの犯人には子供を渡すべきではありませんでしたね。
ホストと遊びにいくために家を開けることになります。
最初は頻繁に帰っていたのですが徐々に帰る間隔があき、事件が起こった時は50日間も家に帰らず子供を放置していました。
もちろん近所でも子供の泣き声が聞こえて児童相談所に連絡があったり通報されたりということがあったようです。
そして職場の上司から「異臭がする」という連絡を受けて家に帰り、犯人は子供が亡くなっているのを確認しています。
異常なのはここで上司に子供の状態をありのままにメールで伝え、自身は警察などには連絡せずにホストの元に戻って遊んでいたということです。
そして事件が発覚して逮捕され、裁判にかけられて懲役30年が確定しました。
これが実際に起きた事件ですが、これをそのまま描いたら映画にはなりません。
少しマイルドに改変された映画『子宮に沈める』
まず最初に映画としての評価を書きます。
映画としての面白さは特にないかなと思います。
ただ上記でも触れたように実話を元にしているために本当にこんなことがあったのかと感じ、非現実を味わえると思います。
『子宮に沈める』は2013年に上映されてから長期間にわたって不定期で公開されているようで、事件を風化させない役割を担っているようです。
『子宮に沈める』では犯人となる女性は夫婦関係が冷めきって寂しさから男に走るように描かれます。
そして性産業に従事している描写はありません。
男に走ることで徐々に見た目が派手になっていきますが、専業主婦という設定のままです。
犯人が長期間にわたって家を留守にした際は実際の事件になぞらえて家のドアをガムテープで塞いで子供が勝手に家からでないようにしていたことを生々しく再現しています。
そして映画の中では現実と違って娘は生きていて犯人が帰って来た際は出迎えています。
しかし犯人は自身で娘を手にかけてしまい映画は終了します。
映画は全体的にマイルドな表現になっており、犯人に同情も持てるものですが、最後の犯人の行動は積極的な攻撃の意志があります。
現実では子供の衰弱を確認してもなお放置して死に追いやった「未必の故意」が認められています。
つまり積極的な攻撃性が認められています。
それを表現したかったのかなと思います。
シングルマザーの社会問題をより詳しく知りたい方は『子宮に沈める』を見てみてください。